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自然栽培の土づくり・無肥料無農薬の条件は!?について

 
前章では、自然栽培の土づくり・新たに不純物を投入しない方法について考えてみました。

ここでは土づくりの第二番目、不純物の撤去について検証してみます。



新たに不純物を投入しないだけでは自然栽培の土づくりは完成しません。


過去に使ってしまった肥料や農薬の成分を土から抜き去る努力も併せて行う必要があるからです。


肥料も農薬も使わない栽培を始めると、最初の内は収穫量が多くなることがあります。自然栽培では、これを「残肥」によるものと考えます。


過去に投入してきた肥料成分がまだ土に残っている、だから最初の内はそのおかげでうまくできるだけ。そう考えるのです。

化学肥料を使うと、この残留は少なくなる傾向があります。化学肥料は大気蒸発しやすいことが理由です。


また土からしてみれば明らかな不純物であるから。水と油が交じり合わない性質があるので、比較的取り除くことが容易であることが言われます。


でも有機肥料はそうはいかない。化学肥料と違って自然界にあるものだから土が不純物と判定しにくい。


肥料成分をつかみ込んでしまうのです。


有機肥料が化学肥料に比べて優れていると言われる理由は、遅効性。土に投入してもスグに効果テキメンと現れるわけではなく、じわじわと効いていく。肥料の効果が長いことが有機肥料の特徴です。


土と一体化してつかんでしまっている肥料分を取り除いていく。それには多くの時間を要するケースも少なくないのです。


土をキレイにするために


では、過去に使ってしまった肥料や農薬などはどのように土から取り出せばよいのでしょうか?それには植物の根を使います。


1つは直根性の植物、もう1つは草。


最初の直根性の植物として麦などは最良です。根っこが真っ直ぐ地下2メートルくらいまで入るので、根を通して不純物を吸い上げてくれるのです。


しかも麦は”肥料食い”で有名なので過去に投入した肥料成分を土から抜き取ってくれる。田畑のお掃除役として最適なクリーンアップクロップというわけです。


昭和40年代の小麦の自給率は28%。今は13%に低下しています。大麦や裸麦だと40年代に73%だったものが今では9%に落ち込んでいるのです。


肥料や農薬を多投し、麦も植えない。日本の農地は汚しっぱなしであるのが現状です。


また2つ目の草ですが、通常は「雑草」といわれます。


この草も通常農家は目の敵にします。徐草剤などを使って排除することに熱心なのですが、草の根も土の清浄化に大いに役立ちます。


草を生やすことで土の中の不純物を取り除いてくれるのです。だから自然栽培では虫や菌同様に、草も敵視しない。草との共生を図るのが自然栽培の特徴の1つでしょう。


またそこに生える草を観察することで、いま土がどのような状態で、どのような作物を植えるのが適切なのかを教えてくれるメッセンジャーでもあるのです。


土の養分が乏しい土にはススキや萱などの背の高い植物が生えます。そこそこ養分がある土にはヨモギやスギナなどが生えます。そして養分が豊富な場所にはホトケノザやハコベ、スベリヒユなどの草たちが生えるのです。


生える草から土の状態を把握し、適切な作物を選択する。このように草は土の清浄化とともに、土の状態を教えてくれるありがたい存在でもあるのです。


年数をかけて力を引き出す!


他にも土の清浄化にはそれぞれの農家ごとの工夫もあります。


土の天地返しを行って空気を土に送り込んだり、雪が降る地方では土の断面に雪を当てることで土の掃除を行う。雪の浄化力は抜群であると言われたりもするのです。


またモグラも農家にとっては天敵のように扱われ駆除剤なども売られていますが、土の中を這い回ることで通気性を良くしてくれる。


モグラがあけた穴に空気が入り、通気性が改善する。空気を好む菌たちが生きやすい環境が作られ、そこにさまざまな生き物が集まり生息し始める。


写真はモグラが開けた穴に地クモが巣を作っているものです。こうして生物の多様性が図られ、土の改良が年を追うごとにどんどん進んでいくのです。


こうして無肥料・無農薬でも野菜を作れる環境を徐々に、年数をかけて整備していくのです。


自然栽培で安定して作物を収穫するためには時間がかかかります。その間は残肥などの過去の肥料や農薬の影響で虫や菌に侵されるケースも少なくありません。


でもそこで農薬を撒くようなことは絶対にしない。農薬を使えばまた土の正常化が遅れてしまうので、基本的には対処をせず、そのままやりたいようにさせるのがベスト。


対処しないことで、できるだけ速く土を元の自然な状態に戻そうとするわけです。


地域ごとの農のあり方


日本列島は南北縦長の地形で、亜寒帯・温暖湿潤・亜熱帯とバラエティに富んだ気候条件の国。


このような多様な気候条件にはそれぞれ異なる栽培方法があるものです。それを1つの方法にまとめてしまったのが肥料・農薬です。


肥料と農薬があれば気候条件などを考慮に入れる必要がなくなってしまった。そして農薬いさえ使えば誰でもどこでも作物を育てられるようになったのです。


でも、無農薬・無肥料の自然栽培で作物を育てるのなら気候条件やその土の質も無視することはできません。その風土に適した作物を選択し育てることが必要になるのです。


関東ローム層のような肥沃な土もあれば、火山灰土で吹けば飛ぶようなところもある。さらに粘土質の土壌や砂に近いような土もある。


このように土の条件を見極め、その土に適した作物を育てること。


例えばトマトやジャガイモは水を嫌う作物なので、水はけの悪い粘土質の土では育ちにくい。反対にナスやキュウリは水を好むので、水を持てない砂地や火山灰土では育ちにくい。


作物がどのような気候条件を好むか?を考えて土質に適した作物を植えていく。


粘土質には粘土質に適した作物を植える。砂地には砂地で無理のない作物を植える。火山灰度にはそれに適した作物を植え、時間の経過と共に土を進化させていく。

そして理想の土の状態・団粒構造の土を目指して努力を重ねる。柔らかくて暖かく、水持ちがよく・同時に水はけのよい土を理想に向けて取り組むのです。


有機であれ、化学であれ、肥料と農薬を使えばどんな土でもどんな作物でも栽培することは可能です。


でもそれだと必ず虫や病気に見舞われ、農薬を使わなければ収穫ができないものになってしまうのです。
気候条件や土質などを無視して行えるのが化学栽培や有機栽培の利点になりますが、それは農薬使用しない限り難しいことも事実なのです。


土の状態に合わせて育てる作物を選ぶ、これも農家に必要な判断になります。


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参考図書


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