お米なら無農薬のものを買っている。
このサイトをここまでお読みの方なら多いのではないかと思われます。お米は比較的無農薬で作りやすい作物。
だから無農薬米も比較的入手しやすい面があります。でも、
無農薬米なら本当に安全なのでしょうか?
他のどんな食材よりも口にする機会と量の多いお米、その知られざる実態についてここでは考えてみましょう。
いまや見かけなくなってしまった
「ササニシキ」。
スーパーを見ても自然食品を見ても、ネット通販においても、どこを見てもコシカリをはじめとした
“甘くてモチモチ”、そんなお米ばかりになっています。
“甘くて・モチモチ”、その代表選手は「コシヒカリ」、でも今はひとめぼれやあきたこまちなど、たくさんの甘い系のお米で埋めつくされているのです。
強い甘みと粘り気の多さが特徴のお米。それが全盛となっている。
でも、それが私たちの健康にとって本当に良いものなのでしょうか?
なぜそんなに甘くてモチモチしているのでしょうか?
その裏にはどのような事情があるのでしょうか?
ここでは食の安全を大切に考える私たちにとっての最重要な食材、「主食」のお米について考えてみましょう。
品種の違いが決め手!
明治期の日本人は毎日、茶碗に8杯くらいのお米を食べていたと言われます。かなりの量を食べますよね。それに比べて現代人は2杯前後だそうです。私たちは、お米をあまり食べなくなっているのです。
こういうと、
「それは食が洋風化したことが原因だよ!」
「いや日本が昔より平和で豊かになったからだよ」
いろんな答えが戻ってきそうです。もちろん事情は色々なのでしょうが、ここでは
お米の品種に焦点を当ててみたいと思います。
コシヒカリは、モチ系のお米とウルチ系のお米をかけ合わせることで誕生した品種です。
独特の甘みとふっくらした味わいはモチ米の要素によるものです。コシヒカリに代表されるお米は「モチ系」、そんな風に言われたりもするのです。
モチ米といえば、おこわや赤飯ですね。
それらは食卓の楽しみの1つではありますが、毎日食べるにはキツイ食材です。だから私たちの祖先はお祝いごとなどの”ハレの日”に限って食べるものだったのです。
甘みの強いモチっとしたお米をたくさん食べる、これは身体にとってはハードなこと。
何だか「コシヒカリ」と私たちの体との関係、それが見えてきたような気がします。
古来より日本人は、あっさりしたウルチ系のお米を主食に食べてきました。ウルチ系は粘り気が少なく、味も薄くあっさりしている。言ってしまえば味も素っ気もないようなもの。
だからこそ毎日何杯も食べることができるのです。つまるところ、
私たちの体にとって無理のないお米はウルチ米である
こうしたことが言えるのです。
デンプンの違いに注目!
ウルチ系かモチ系かを分けるポイントは、デンプン質(糖質)の違いです。
お米のデンプンは
「アミロース」と「アミロペクチン」、この2種類から構成されています。数字で言うと、アミロースが0%・アミロペクチンが100%のお米は「もち米」。
一方、アミロースが15〜35%・アミロペクチン65%〜85%のお米が「ウルチ米」というわけです(諸説あるようです)。
つまりアミロースがゼロに近ければ近いほど、そしてアミロペクチンの比率が高ければ高いほど、”モチ系”のお米というわけです。一方のウルチ系はアミロースの量が多く、アミロペクチンの量が少ないものを指します。
モチ系のお米は糖度が高く、モチモチとした食感。ウルチ系は糖度が低く、粘り気が少なくあっさりした食味になるわけです。
野菜にも同じことが言えるのですが、近年のお米の品種改良の歩みは食味改善の歩み。
いかに甘みを強くし、ふっくら・モチモチさせられるか?
これに尽きるのではないかと感じます。つまりアミロースをいかに少なくするか?もっと言えば、どこまで「モチ米」に近づけるか?
このことを最優先に行われてきたといえるでしょう。
通常コシヒカリのアミロースは14%〜20%、ミルキークイーン9%〜12%、スノーパールに至っては7%〜9%と言われていて、作り手や場所、気温や日照などによっても違ってくるようです。
コシヒカリの生産者は
“アミロース20%”なんて言われるとその高さに落胆し、肩をガックリと落としてしまいます。
こうした背景により、最近は「低アミロース米」の開発合戦となり、いかに甘くてモチモチしているか?をアピールしたりしています。そして”冷めてもモチモチ”というブランドのお米までも売られています。
でもよく考えれば、”冷めてもモチモチ”なんて、あまりに不自然なことですよね。そうしたお米の中には、モチ系のお米に
紫外線や放射線を浴びせてで「突然変異」を起こさせるものまで実際にあるのです。
つまり遺伝子を変容させてまで飽くなき食味の追求を行う。遺伝子レベルでの操作を人為的に、化学の力によって行うケースも少なくないのです。
そのようなお米が有機農法で作られ、安全でしかも“甘くてふっくら!”という喜びとともに日々私たちの口に入っていくのです。
そんな化学の力で強引に作られたお米を「食べたくない!」、そう思ってみても難しいのです。なぜなら選ぶのに必要な情報が私たちにはほとんど公開されていないわけですから。
私たちには選択のための材料すら与えられてないということになるのです。
ササニシキなら大丈夫!
「お米アレルギー」の方の中には、モチ系のお米では症状が出てしまうけど、ササニシキなら大丈夫というケースも少なくありません。中には、モチ系のお米を食べ続けることが、
「アレルギーや糖尿病の原因になっている」と指摘する研究者もいるのです。
確かにウルチ系のお米は”パサツキ感”があることは否めません。その中でも「ササニシキ」はアミロースの量が約20%であっさり薄味ながらも”味が良い”と言われる品種です。
最近はこの追及も静かに行われていて、ササニシキの先祖にあたる「ササシグレ」などを積極的に栽培する農家さんも出てきています。
私たちの健康を維持し拡大していくためには、「有機か?」、「低農薬か?」、「無農薬か?」、そうしたことに関心が奪われがちですが、お米の品種についても、しっかり見極める必要があるのです。
問題は、
過剰なまでの飽くなき”食味追求”にこそ原因がある
と考えます。
“冷めてもモチモチ”、そうしたお米はやはり不自然と言わざるを得ません。矛盾するようですが、それと同時に“食味の追求”も忘れてはならない事がらだとも思います。
日々口にする機会が多いお米だからこそ「おいしいものを食べたい」。それは大切な要素です。「身体に良い」という理由だけで、おいしくない米をガマンして食べ続ける。それも不自然なことではないだろうか?そのようにも思うのです。
以前、アミロースの高いお米・純ウルチ系のお米を熱心に色々集めて食べてみたのですが、正直美味しいとは思えませんでした。これを毎日食べるのは苦痛・・・、そう感じたものです。覚えている方も多いと思われますが、1994年冷害でお米騒動が起こった時の「タイ米」。
あのパサつきと味を多くの日本人は好まなかったことも無視できない事がらだと感じます。美味しいと感じるお米を選ぶ、それもやはり大切なことだと感じるのです。
ただそれを極端に求めてしまえば、
私たちの「健康」が犠牲になってしまいます。ものにはやはり限度があり、どんなことも極端に陥ってはならないものなのです。
「ササニシキ」や「ササシグレ」を食べる。それが適正ではないか?と思います。
ここではお米の品種と私たちの健康について述べてみました。次章はいよいよ最終章。自然食の追求と経済の両立について考えてみたいと思います。
安全で自然な食材を無理なく選び続けていくために、限られたお金をどのように使っていくか?その点について考えていたいと思います。
■次へ:自然食材選びは優先順位を弁えて!
■前へ:有機無添加の発酵食品の問題点は!?操作培養の実態とは!?
■自然栽培・肥料も農薬も使わないでお米や野菜が育つの!?
■カテゴリTOPへ:有機・無農薬野菜を買う前に!60分で自然食のカラクリを暴く!
■TOPへ:有機野菜・自然食に潜む7つのリスクを速習!業界OBが60分で解説!
■自然栽培に学ぶ!無投薬・無医療のためのコラム集
参考図書
■
健康のトリック―見てはいけない健康テレビ番組
■
日と水と土―ナチュラル&ハーモニックスタイルのすすめ
■参考文献
■アトピーと米の品種
■スノーパールとは
■ミルキークイーンとは
■日本人の主食が今危ない
■お米アレルギーについて
■お米アレルギーの原因はいったい何か?